皮膚に起こる疾患やお悩みはなんでもご相談ください

多汗症や日焼けなど、しょうがないと放置するのではなく、まずは受診いただきご相談いただければと思います。
主な疾患
多汗症
多汗症は、エクリン汗腺からの発汗が亢進してしまい、日常生活に支障をきたすようになる疾患です。
このなかには、全身の様々な部位で発汗してしまう「全身性多汗症」と、手足(掌蹠)や顔、ワキ(腋窩)などに限定的にみられる「局所性多汗症」があります。
全身性多汗症は、高温多湿の環境や過度の運動によって生理的に多汗となるケースもあるのですが、何らかの病気が原因のこともあります。
具体的には、バセドウ病、糖尿病、高熱を伴う疾患などが考えられます。
このほか、妊娠期間や更年期に一時的に多汗になるケースもあります。
全身の多汗がみられる場合は、内科的な基礎疾患が隠れていないか、血液検査などで調べる必要があります。
更年期のホットフラッシュ、多汗には、プラセンタ注射も行っています(自費診療)。
一方、局所性多汗症では、情緒性発汗が多いとされ、精神的緊張によるものや、もともと局所が汗をかきやすい体質であることなどが考えられます。
ワキ汗(原発性腋窩多汗症)
原発性腋窩多汗症とは、特に病気などの明らかな原因がないにも関わらず、ワキ(腋窩)に日常生活に支障をきたすほどたくさんの汗が出てしまう状態です。
日本では約20人に1人いると推計されており、決して珍しい疾患ではありません。
平均発症年齢は19歳です。
2000年以前は保険が使える原発性腋窩多汗症の治療は手術しかありませんでした。
しかし、2020年以降はシートタイプやゲルタイプなどの保険適用の外用薬が登場し、治療の選択肢が増えました。
また、抗コリン薬を内服して汗の分泌を減らしたり、ボツリヌス菌が産生する毒素から抽出した成分を皮下注射して発汗を抑える治療も行っています。
ワキ汗を抑えることで、ワキのにおいがやわらぐ、ワキ汗による日常生活の支障がなくなる、汗染みが目立たなくなる、といった効果を実感されています。
また、においが気になる方にはデオドラントクリームもご用意しています(自費診療)。
日常生活に困るほどの汗をかいているにも関わらず、治療法があることの認知が広がっていないため、受診をされていない方が多いのが現状です。
汗ジミが目立ち好きな服が着られない、人前に出られない、そうしたお悩みの方はご相談ください。
手汗(原発性手掌多汗症)
原発性手掌多汗症とは、特に病気などの明らかな原因がないにも関わらず、手のひら(手掌)に日常生活に支障をきたすほど、たくさんの汗が出てしまう状態です。
日本では約20人に1人いると推計されており、決して珍しい疾患ではありません。
平均発症年齢は13歳と、ワキ汗(原発性腋窩多汗症)(平均発症年齢19歳)よりも若年で発症することが多いです。
日本で初めて原発性手掌多汗症に対して保険適用が認められた外用薬が2023年登場し、治療の選択肢が広がりました。
また、抗コリン薬を内服して汗の分泌を減らしたり、ボツリヌス菌が産生する毒素から抽出した成分を皮下注射して発汗を抑える治療も行っています。
日常生活に困るほどの汗をかいているにも関わらず、治療法があることの認知が広がっていないため受診をされていない方が多いのが現状です。
プリントや書類を持つとぬれてぐしょぐしょになってしまう、握手ができない、汗でスマートフォンの操作がしにくい、スポーツや楽器が制限されてしまう、などお困りの方はご相談下さい。
日焼け
太陽光線などに含まれている紫外線が原因となり、皮膚の障害が起こってしまう疾患です。
ご承知の方も多いと思いますが、皮膚が赤くなったり、人によってはむくみや水疱といった症状が現れます。
時間が経過すると肌が黒くなっていきますが、通常は徐々に肌の色が戻っていきます。
ただし、水ぶくれを起こすような日焼けの場合は注意が必要です。
やけどと同じ状態になっており、患部をこすって水ぶくれが潰れてしまうと日焼けの痕が残ってしまうこともあります。
日焼けによる炎症が強い場合は治療が必要ですので、患部を冷やして、早めに受診してください。
やけど
やけどは日常生活において最もよく見られる外傷のひとつです。
熱湯や蒸気、油、アイロン、ストーブ、火などによって起こることが多いです。
カイロや湯たんぽ、電気アンカなどによる低温熱傷が冬にしばしばみられます。
このほか特殊なやけどとして、薬品(酸、アルカリ溶液など)による化学熱傷、電流(家庭電源、落雷など)による電撃傷などがあります。
どこまで損傷をうけるかは、皮膚が熱いものに触れた時間とその温度によって決まります。
やけどは、深さが浅いものから順にⅠ度(表皮より浅い)、Ⅱ度(表皮、真皮)、Ⅲ度(表皮全層、皮下組織)に分類され、それぞれ症状が異なります。
皮膚の薄い子供や高齢者では損傷レベルは深くなります。
また、同程度にやけどを受傷しても、体の部位により皮膚の厚さが異なるため(手のひらは皮膚が厚く、手の甲は皮膚が薄いなど)損傷レベルに違いがあります。
浅いやけどは痛みなどの症状が強く、深くなるに従い痛みは少なくなっていきます。
Ⅰ度熱傷は、皮膚が赤くなり痛みを伴います。
通常数日のうちに傷痕を残すことなく治ります。
Ⅱ度熱傷は、水疱(水ぶくれ)を形成します。
Ⅱ度のやけどはその深さによりⅠ度にちかい浅いものと、Ⅲ度にちかい深いものに分けられます。
痛みが強い場合には浅いもの、痛みが弱い場合には深いものであることが多いです。
Ⅱ度の浅いやけどは傷あとを残さず治癒します。
一方、Ⅱ度の深いやけどは傷痕が残ることが多いです。
治療期間は1~4週間ほどです。
Ⅲ度熱傷は、神経や血管もやけどでやられているため、外見上白色に見えたり、時に黒くなったり、痛みの感覚もありません。
手術など専門的な治療が必要になり、1か月以上の治療期間を要することも少なくありません。また傷痕が残ることが多いです。
やけどの治療
やけどをしたときの応急処置の基本は、すぐに冷たい流水で20分以上は冷やすことです。
これによって熱による組織損傷が深くなることを防ぎ、受傷した部位の炎症を抑えられるので痛みを和らげる効果も期待できます。
水疱(水ぶくれ)があるときは、自分で潰してしまい破れた皮膚がとれてしまうと、そこから感染が起きたり、痛みが強くなったりする場合がありますので、自分ではなるべく潰さないようにして気を付けましょう。
また、創部に細菌感染を来すと傷が深くなり治癒までに時間がかかるだけでなく、治癒後に瘢痕(やけど痕)や肥厚性瘢痕(ケロイド様の皮膚のもりあがり)、拘縮(ひきつれ)などの後遺症を招くことになります。
特に、顔、手、関節、陰部など特殊な部位のやけどの場合は、範囲が狭くても専門的な治療が必要になるケースがあります。
やけどの種類によって使用する薬剤や処置方法が異なります。
初期治療が極めて重要で、治り方や熱傷後の傷痕に大きな差が生じますので、患部の冷却を十分に行った後は、清潔で皮膚にはりつかないガーゼなどで患部を保護し、速やかに受診してください。
しもやけ(凍瘡)
冬の寒い時期に起こることが多い疾患のひとつです。
主に手足の指、耳など末梢部分とされる部位が紅斑や赤紫色に腫れるようになります。
これに伴い、患部が痛がゆくなり、ひっかいてしまう方もいらっしゃいますが、患部を刺激するとかえって症状が強くなります。
病状が進行すると、水ぶくれができてしまい、それが破れると皮膚がただれてしまうので注意してください。
治療に関していうと、基本的には患部を保護し、暖かい部屋などで過ごすことで症状が改善します。
しかし、患部が腫れているなどの症状がみられている場合は、ステロイド系やビタミンEの外用薬を塗布していきます。
凍瘡の原因
凍瘡は、5度ほどの寒冷に繰り返し長期的にさらされることを原因として発症します。
しかし、同じような寒冷刺激でも凍瘡を発症する方と発症しない方がいることから推定されるように、遺伝的な素因も発症に関与すると考えられています。
たとえば、家族歴や糖尿病、高脂血症などが発症に関係するといわれています。
また、体重が少ない方は、より気温による影響を受けやすく凍瘡のリスクが高いとされています。
凍瘡の診断は、基本的には寒冷刺激に関するエピソードと皮膚の局所所見を元に行い、基本的には基礎疾患がなくても凍瘡を発症します。
しかし、なかにはエリテマトーデスやサルコイドーシスといった病気の皮膚症状として凍瘡に似た症状が現れることもあります。
こうした基礎疾患では、必ずしも寒冷刺激がなくても凍瘡に似た皮膚症状が現れることがあります、夏場でも発症することがあります。
そのため、こうした基礎疾患の存在が疑われる場合は、血液検査で精査し、皮膚に対する局所治療にとどまるのではなくより直接的な疾患治療方法を選択することも大切です。
とこずれ(褥瘡)
とこずれ(褥瘡)は、体を自由に動かせない方や寝たきり状態の方に起こりやすい病気です。
病気や加齢に伴って寝返りが打てなくなると、体の一部分にのみ持続的に圧力がかかるようになります。
そして長時間この状態が続けば血流が悪くなって、徐々に皮膚やその下の組織が壊死してしまいます。
骨が突出し体圧の集中する部位に多く発生しやすく、 お尻、後頭部、踵、太もも、くるぶし、肘などです。
褥瘡の重症度(損傷の深さ)は、圧迫の力と時間の相乗効果によって決まります。
圧迫される外からの力に対して、組織が引っ張られたりずれたりしてダメージが生じます。
健康な方に褥瘡が起こらないのは、組織が損傷される前に痛みやしびれを感じるため、寝返りや座り直すなどして体位を変えるからです。
したがって、褥瘡を発症しやすいのは、長期間寝たきりの方、糖尿病などの神経障害があって痛みやしびれを感じない方、脳血管障害や脊髄疾患等で運動障害のある方、栄養状態が悪い方、高齢で皮膚が薄く弱くなっている方などです。
褥瘡はたった数時間で発症してしまうので、このような方は2、3時間ごとの体位交換が褥瘡の予防に非常に重要です。
褥瘡の症状と予防法
褥瘡が発症すると約1~3週間までの間は急激に創部が変化するので、急性期褥瘡と呼びます。
この時期は皮膚の赤みが持続したり、腫れたり、水ぶくれができたり、表皮が剥がれてびらんになったりします。
重症になると浸出液が多くなり、細菌感染で化膿し、組織が白くなったり黒くなったりして壊死します。
褥瘡は数時間と短時間で発症しますが、治療は長期間かかる病気です。
そのため、予防が非常に大事です。
具体的には体位変換を2~3時間ごとに行う、クッションや体圧分散寝具を効果的に利用する、栄養を改善する、スキンケアを行う、などです。
褥瘡の治療
まずは、褥瘡の重症度を、日本褥瘡学会で定めたDESIGN-Rという分類をもとに評価し、重症度に応じて、適切な外用薬や創傷被覆材を選択し治療します。
適切な治療をしないと褥瘡が深くなり、手術や入院が必要となることも少なくありません。
発熱や倦怠感が出て全身状態が悪化することがありますので、早期の受診をお勧めします。
ケロイド・肥厚性瘢痕
ケガや手術による傷が治癒していく過程で、その傷を埋めていく組織が過剰に増殖してしまうことがあります。
こうした状態が進行し、しこりのようになってしまうのが「肥厚性瘢痕」「ケロイド」です。
表面に光沢を感じさせる赤いしこりが見られ、その端の部分はなだらかに盛り上がってきます。
肥厚性瘢痕の場合、痛みや痒みなどの症状は少なく、傷痕部分のみが赤く盛り上がりますが、ケロイドは、強い痛みや痒みを伴い、放っておくと元の傷の範囲よりも大きく広がっていくのが特徴です。
また、肥厚性瘢痕の場合、時間の経過とともに自然に小さくなることがありますが、ケロイドは徐々に進行し広がり続けていくため、自然に治ることはほとんどありません。
しかし、どちらも皮膚にできた傷が原因で発症し、症状も極めて似ていることから、実際には肥厚性瘢痕とケロイドを明確に区別するのは困難です。
また、顕微鏡による病理検査でも違いはないことから、最近では同じ病態ではないかと考えられるようになっており、当院でもあえて区別はせずに同等の疾患として治療を行っています。
ケロイドや肥厚性瘢痕のような傷痕になる詳しい原因は解明されていませんが、「ケロイド体質」と言われるように、その発生には個人の体質や遺伝が関係することが知られています。
また、身体の部位によってもできやすい場所とできにくい場所があり、肥厚性瘢痕は、主に肘や膝、足首などの関節部分、鼻の周り、上唇などに多く発生するのに対し、ケロイドは、胸や肩、二の腕、耳たぶ(ピアスの傷)、下腹部(帝王切開の傷痕など)に多く発生します。
その他、傷痕にかかる緊張(引っ張られるなど)が強い場合や、傷痕が化膿して治癒に時間がかかってしまう場合などもケロイドや肥厚性瘢痕になりやすいと考えられています。
ケロイド・肥厚性瘢痕の治療
ケロイドや肥厚性瘢痕の治療は、線維芽細胞の活動を抑制し、患部の炎症を抑えて痛みや痒みなどの症状を和らげるほか、赤く盛り上がった外見を白く目立ちにくい状態にする治療を行います。
また、傷痕が関節にまたがるような場合、皮膚がひきつれて曲げ伸ばしがしにくくなる瘢痕拘縮を起こし日常生活に影響を及ぼすこともあるため、早いうちに適切な治療を行い進行を防ぐことが大切です。
ケロイドや肥厚性瘢痕は、原則、保険による治療が可能です。
症状の改善には半年~1、2年かかることも多いので、焦らずに根気よく治療を続けていくことが大切です。
瘢痕部にステロイドの外用薬や貼り薬、局所注射を行います。
おもに炎症を抑えるためのステロイド剤と保湿剤があり、トラニラストや漢方などの内服薬を併用することがあります。
また、ケロイドや肥厚性瘢痕は、よく動く場所や強い力がかかる部位にできる傾向があるため、シリコンジェルシート(メピフォーム)などで傷痕を固定し、皮膚にかかる刺激や緊張を減らします。
また、皮膚を圧迫することで、過剰な血流を抑制し、傷痕の盛り上がりを抑える効果もあります。
薬疹
何らかの治療で使用した薬が原因となり、皮膚に様々な症状が現れる疾患です。
多くの場合、薬に対する免疫反応が原因となります。
なお、薬を使用してから過敏反応を起こすようになるまでには、ある程度のタイムラグがあります。
1~3週間後に発症することが多いのですが、これより短かったり、逆に長かったりするケースもあります。
薬疹の中でも重症なものとして、中毒性表皮壊死融解症、スチーブンス・ジョンソン症候群があります。
さらに、ウイルスが関与する薬剤性過敏症症候群という病態の存在が明らかになり注目を集めています。
重症薬疹は命に関わることもありますので、皮膚科専門医のもとで迅速な対処が必要となります。
薬疹の治療
まずは詳細な問診を行い、原因となっている薬剤を突き止め、使用中止することが重要です。
お薬手帳をお持ちいただくか、内服開始の時期や症状出現の時期をわかる範囲で記載してきていただけると、正確な診断がしやすいです。
当院では、血液検査で原因薬剤を調べることができる、薬剤リンパ球刺激試験(DLST)にも対応しています。
この方法でも、偽陽性、偽陰性は多く、判定はあくまで他の検査結果や臨床症状と照らし合わせて総合的に行います。
平日のみ検査可能で、保険で月に2剤の薬を検査することができます。
DLSTご希望の場合はアレルギーを疑う薬が必要なので、2剤までアレルギーの薬をお持ちいただくか、当院で処方して使用することも可能です。
軽症の場合は、ステロイドの外用で抗アレルギー薬の内服で改善しますが、中等症以上になると、ステロイドの内服や注射による治療が必要になることもあります。
重症の中毒性表皮壊死融解症、スチーブンス・ジョンソン症候群、薬剤性過敏症症候群では、血漿交換療法、ステロイドパルス療法等が必要になることが多く、その際は関連の総合病院へ速やかに紹介いたします。
中毒疹
中毒疹は、全身に左右対称性に紅斑が出現する急性発疹症の総称で、原因不明のこともありますが、多くはウイルス感染の一つの症状として発疹が出てきます。
その他、溶連菌感染症、薬剤、食物の影響など、多種多様な要因が考えられます。
原因が薬剤と特定できた場合は薬疹、ウイルスの種類が特定できる場合は水痘、はしか等の病名に変わります。
また、膠原病や悪性腫瘍によるデルマドロームとして中毒疹が出現することがあり、紅斑が長期間消退しない場合や消長を繰り返す場合は、血液検査や皮膚生検による病理組織学的検査、画像検査などを行う必要があります。